商品の知恵袋

お客様がお使いの塗料や資材について「目からうろこ」をお伝えする「商品の知恵袋」。
これを読んでいただければ、これまでお買い求めいただいた商品でも、きっと今まで以上のご満足を得ていただくことができます。

知恵袋

UVコート

ほとんどが無溶剤タイプなのでフレキソコーターでの塗工が可能です。
紫外線により即硬化するので印刷インラインに適しています。
また、艶を出すだけでなく艶を消したり、はじかせたり、圧着させたり、転写させたりいろいろな表現ができたり機能をもたせることができ今後も伸びていく分野だと考えます。
UVニスの選択にあたっては、目的はもちろん下地印刷インキ種類が油性なのかUVなのかにより品番が異なります。

共通使用上の注意点

①ニスの使用方法

原液使用でお願いします。粘度が高い場合は、加温によりニス粘度を調整してください。夏冬の加工条件を一定にするために冬場のヒーター使用により30℃~35℃位で加工してください。
ただし、マット用UVニスOP-3110MはIPA希釈です。

②印刷使用インキ

インライン加工の場合は、原則UVインキ、ハイブリットインキをご使用ください。
オフライン加工では、油性インキ使用印刷物でも可能です。ただこの場合、ブロッキング防止用パウダーの影響を受けやすいので注意が必要です。特に、メール用圧着ニスでは圧着強度低下しやすいのでインライン加工をお勧めします。

③印刷紙

UVニスの仕上がりは、印刷紙の影響を受けやすいのでそれぞれの加工に適した紙を選択してください。

 

擬似エンボス(UVエンボス)

①印刷紙

エンボス部分とクリアー部分との光沢差で特長が発揮されますので原紙は光沢を得やすいコート紙を原則ご使用ください。

②インキ

UVインキ、ハイブリットインキをご使用ください。ただしハイブリットはメーカーによりグロスバック(艶消え)現象が起こる可能性がありますので事前にご確認ください。

エンボスインキに油性メジウムを使用する場合は、OP-4023またはOP-4025をご採用ください。

③印刷

インターデッキの使用をお勧めします。インターデッキを使用しない場合、エンボス用インキがUVニスブランケットに転移する逆トラップ現象が起こりやすくなります。

転写 (LCコート)

①印刷紙

特に選びませんが一部密着しにくい紙(コート紙)があります。事前に試験いただくかお問い合わせください。

②インキ

UVインキに限ります。ハイブリット、特殊UVインキでも密着が劣ります。
ただし、OP-4017よりインキ密着性に優れたOP-4501を準備しています。
OP-4501は、油性インキ、ハイブリットインキにも使用でき、特にマット加工に特に有効です。

ラミネートフィルム

片面処理と両面処理

PPフィルムは元々接着剤が付きにくいプラスチックでそのためフィルム表面にコロナ放電処理をして接着し易くします。
この処理を表裏両面したものと片面のみのものとがあります。
ラミネート後箔押し等の後加工がある場合は両処理を、本の表紙のようにフィルム面同士が接する場合はブロッキング防止のため片処理(表側が未処理)の使用をお勧めします。

接着強度の発現

サーマルフィルム(プレラミ、熱ラミとも呼ばれている)は、接着層がプレコートされていて加工時加熱、加圧されすぐ最高の接着強度が発現すると考えがちです。けれど実際は、ラミネート直後で約70%の接着強度で経時にて強度がアップし1週間程で平衡状態になります。
したがってサーマルフィルムであってもラミネート加工直後のトムソンや罫線折り加工は、慎重に事前テストを行う必要があります。

ラミネートの屋外使用について

サーマルフィルムは、耐候性(耐光性・耐水性)を兼ね備えていない為、屋外用途及び屋外に相当する環境での対応にはなっておりません。
特に水と接する環境(屋外、結露環境 等)でのご使用により、剥離現象を招く恐れがあります。外部で水がかりなどがある場合は、二液硬化型の接着剤の使用をお勧めします。

光沢コートについて

塗料の選択

光沢コートは、印刷紙にロールコーターで塗料を塗付し乾燥させて仕上げる工程のみですがいろいろな機能をもったニスを選択することにより様々な用途に使用できる印刷物に変身させます。
お客様の希望目的が何なのか、中身は何を入れるパッケージなのか、重いものか、熱いものか冷たいものか、水分が発生するのか、保管環境はどうなのか、艶は いるのかいらないのか…等本当の用途、目的がわかれば適切な塗料をご紹介いたします。

プレスコートについて

1. 加工方法
インライン方式かオフライン方式かまたはグラビア方式かにより塗料の選択がかわります。
また、ラインスピードによっても選択する必要があります。乾燥スピードは希釈剤でのコントロールが可能ですが根本的な仕上がり具合は塗料によるところが大きいです。
2. 加工目的
プレスコートですのでもちろん高光沢が要求されますがその他に耐摩擦性、スベリ性、仕上がり性などで選択が可能です。
3. 最近のグレードは、かなり応用範囲が広くなりどの加工条件でも使用可能なニスもできております。ぜひお試しください。

ブロッキングについて

1. 印刷時に発生している場合
インキの乾燥硬化不足により裏うつりしたりひっついたりします。
発生が光沢加工前か後かは塗膜表面の平滑状態で判断します。
対策として、UVインキの採用やインキの酸化硬化を促進するため加温したり風をいれたりします。
2. 加工時に発生している場合
塗料やインキの残留溶剤が加工時の熱により塗工塗膜を軟化しブロッキングを起こす。両面印刷、ベタ印刷になるほど起こりやすい。他、ボール紙よりコート紙が、紙は厚い方が起こりやすく両面印刷の裏側に加工された印刷ニスにも注意が必要です。
対策として加工紙の冷却を十分に行う、塗料の乾燥を十分行う、水性塗料を採用する等があります。水性塗料は油性塗料に比べ残留溶剤がほとんどが水で塗膜樹脂を溶かすことがないのでトラブルの発生が少ない。
3. 保管時に発生している場合
製品になった後に保管時や輸送時にブロッキングした場合は、塗膜そのものの耐ブロッキング性に問題があったか保管環境の温度、湿度が高すぎた場合が考えられます。判断は、実物紙片に荷重、湿度をかけブロッキング温度を測定します。
対策として、耐ブロッキング温度のより高い塗料の選択や保管場所の通風などが考えられます。

希釈剤

水性塗料希釈剤

水性塗料用希釈剤は、主に水、メタノール、IPA(イソプロピルアルコール)の3要素からなります。

一般的には非常に良い溶媒で安全で大量にありコストも安い。ただ印刷加工用とすると紙を波打たせたりエンドレス板に水の中の不純物が付着し板の曇りやはがれ不良を引き起こします。
また、乾燥させるのにエネルギーも多く必要です。ただ今後環境を考慮すると水希釈のみの塗料が望ましくその方向に進むと思われます。
メタノール 乾燥が速くアルコールの中では安価。水との親和性が大きい(水となかよし)。
IPA メタノールより乾燥は遅い。もちろん水溶性ですが油との親和性も持っている。
グラビア塗工時、乾燥が速すぎ泡跡が残る場合や、印刷インキ(油性)とニスの間ではじき等発生した場合は、IPAの多い希釈剤を選択すると解決しやすい。

油性塗料希釈剤

油性塗料希釈剤(プレス用、光沢コート用)は、主にトルエン、酢酸エチルの2要素からなります。

トルエン 芳香族と呼ばれもともとナフサ(石油)からの留分なので油脂、樹脂とよく混ざります。有機溶剤のなかでも相溶性、コスト面でも優れていた成分です。表面加工用溶剤では乾燥速度も速いこともあり主流となっていました。
ただ最近では、シンナー中毒の原因や環境問題で使用を減らす方向にあります。
酢酸エチル エステル類と呼ばれている溶剤の種類のひとつで、樹脂を溶かす力の強い溶剤(真溶剤と呼ばれている)です。乾燥速度もトルエンよりも速い。
ただ単品だと乾燥が速すぎたりコストの問題で他の溶剤と混合使用する場合が多い。
ラッカーシンナー 真溶剤(エステル類、ケトン類、エーテル類等)と助溶剤(アルコール類)及び希釈剤(芳香族、脂肪族)の3要素からなります。
それぞれ樹脂を溶かす、その力を助ける、コストを下げる等の役割があり元々ラッカー(硝化綿)を溶かす溶剤として配合されました。今では、油性シンナーの総称に使われたりします。
マットニスのように徐々に乾燥させた方が仕上がりがよい場合には、それぞれの要素に乾燥速度の速いものと遅いものを組み合わせて配合します。ただ、乾燥の遅いものは比較的ニオイが残りやすいため臭気が気になる場合は低沸点の組み合わせがお勧めです。

木工用塗料について(特殊塗料にも関連)

天然樹脂セラックは、カイガラ虫という昆虫が分泌する樹脂です。
合成樹脂が主流になる前は、樹脂の主役でした。天然樹脂の中で唯一熱硬化性があったり耐溶剤性、毒性がないことなどの特長を活かし塗料以外でも食品用、医薬用接着剤用途にも採用されてきました。
弊社では、木工用塗料だけでなく絶縁用途、ミカン保存剤、チョコレートコーティング剤などの商品に利用しています。そして最近は、その無毒性の天然樹脂という特長に加えホルムアルデヒドを吸着しやすい性質を利用しシックハウス対策の塗料としても注目されています。