[最終更新日]2018/11/06
今まで外注に出していたUV印刷を自社工場で内製化したいという工場も増えていると思います。
自社工場で始める時に、どの塗料を選べ良いのか判らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自社でUV印刷を始めるときのUV加工用塗料選び方をわかりやすくご説明したいと思います。
UV塗料・UVニスのメリット
短納期に寄与するUV印刷。
UVインキ、UVニスは速乾性であるため、すぐ後工程へ進めるというメリットが知られていますが、それ以外にも以下のようなメリットもあります。
【メリット1】作業環境の改善
印刷パウダーが不要なため、油性オフセット印刷と比較して作業環境の改善にもなります。
UVインキの硬化にはメタルハライドランプ、UVクリアニスの硬化には高圧水銀ランプによるUV照射がそれぞれ一般的であり、これらのランプを数本組み合わせて使用することが一般的です。
高出力のUVランプを複数本使用するため消費電力は大きく、夏場などはデマンド管理によって電気代を気にしなければならないという状況はこれまでしばしば散見されてきています。
【メリット2】付加価値印刷の実現
UV印刷は、擬似エンボス加工、UV圧着ニス加工、フィルム素材への印刷といった高付加価値印刷が実現できます。
擬似エンボス加工、UV圧着ニス加工、フィルム素材への印刷とは、どのようなものなのかを見てみましょう。
擬似エンボス
擬似エンボス加工とは、組み合わせの妙というもので、下刷りOPニス+コーターニスの反発を利用して、組み合わせ次第で粗いハジキ(ゴツゴツ感)~細かいハジキ(細線)の表現を加工するものです。
もちろんコーターニスのみの部分は高光沢を与えるため、ハジキ部分と光沢部分のコントラストの差がデザインをより引き立てます。
UV圧着ニス加工
UV圧着ニス加工とは、コーターニスユニットを使用し、UV圧着ニスを加工するものです。
UV圧着ニスは後加工の工程において折り、圧着加工を行なうことで圧着ハガキが作成できる擬似接着性を有するUVクリアニスです。
実は、UV圧着ニスは非常にデリケートなニスであり、他種ニスや洗浄溶剤などが少量混ざってしまうだけで、圧着加工することが出来なくなることがあります。
それどころか、剥離時に紙が剥けてしまうというトラブルも生じかねません。
また、塗布量管理も非常に大切です。
コーターユニットはアニロックスロールを使用したチャンバーコーターユニットが一般的になっており、アニロックスロールはその彫刻形状、線数、及びセル容量の適切な選択により、塗布量を定量にコントロールできる凹版セラミック製ロールです。
しかし、凹版ゆえにニスの目詰まりが生じる可能性はあり、日頃入念に洗浄を行なっておられても目詰まりが蓄積することがあります。
それゆえ塗布量の定量管理は重要であり、おすすめはユポ紙を使った塗布量管理です。
フィルム素材への印刷
UVインキはフィルムへの印刷も可能です。
フィルム素材としては、PPやPETが主流です。
高密着性UVインキを使用することが一般的かと思われますが、事前にアンカー処理やコロナ処理を行なっているフィルムであれば、密着性はより良好と思われます。
UV印刷の種類
UV印刷は進化しています。
印刷機メーカーから次世代UV印刷として省電力印刷が提案されて久しく、オゾンレスUVランプを使用した省電力UV印刷、LED-UV印刷、減灯印刷などが主たるところかと思われます。
それでは、省電力印刷のそれぞれの特徴をみてみましょう。
オゾンレスメタルハライドランプ省電力UV印刷
オゾンレスメタルハライドランプを使用した省電力UV印刷は、従来のメタルハライドランプからオゾン発生領域の波長をカットすることで、オゾン(O3)を発生しない特徴があります。
このランプに対応した高感度インキ、高感度UVニスを使用し印刷します。
通常のUV印刷と比較し、消費電力は二分の一程度といわれています。
LED-UV印刷
LED-UVランプを使用した印刷システムはオゾンを発生しないのはもちろん、熱をほとんど発生しないというのも特徴です。
このランプに対応した高感度インキ、高感度UVニスを使用し、ランプ一灯で硬化させる印刷システムです。
オゾンを発生せず、熱もほとんど発生しないため排気ダクトが不要です。省電力に寄与し、通常のUV印刷と比較し、消費電力は六分の一程度といわれています。
また、ランプ寿命が長いのも特徴で、通常のUVランプ(1,000~1,500時間程度)よりも10倍程度長い15,000時間と言われています。
減灯印刷
減灯印刷についてですが、これは既存設備で省電力印刷を行なう手法です。
例えばランプ3灯付帯のところを1灯あるいは2灯OFFにし、2灯点灯ないし1灯のみ点灯にし、高感度インキ、高感度UVニスを使用します。
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